長嶋さん、現時点では
「右手に麻痺があって、医者が手を添えると曲げたりできる」
「ゆっくりなら話せるので『失語症』のような重い言語障害はない」
だ、そうで。
まるで失語症でないことがとてもいいことのように報じられているが、これも楽観視しすぎだよな。
「失語症」にまでは至ってないだけで「言語障害」が出てるのは間違いないわけだ。
これは右手の麻痺なんかより時間もかかるし、治すのは大変なんだ。
頭の中でインデックスがバラバラになった状態だから、外から手助けすることはできるが、最終的にインデックスを正しい位置に直すのは、本人の努力なのだ。
目に見えて、力がついたり正確に動いたりするようになるのが分かる手足の麻痺とは全然違う。

俺のオヤジはひらがなを忘れてしまった。
ノートとペンを用意し、ひらがな五十音を大きく書いてやり、
「『あ』という音を表すには、この『あ』という文字を書く」
というレベルから、一文字ずつ練習していった。
文字の形自体は忘れておらず、脳梗塞を起こす前と何ら変わらず達筆に「あ」と書いてみせるのに、「あ」という音に対して「あ」というひらがなの文字が結びつかなくなってしまい、
「なんでこんな難しいものを覚えなくてはいけないんだ!」
と怒り出したり、
「こんなモン、覚えなくても生きていける!」
と投げやりになって怒ってしまったのも、もう何十回あったか知れない。

失語症ではない、それほど重くない言語障害、といわれた俺のオヤジでも、こういうレベルからのスタートなのだ。

まだまだ、これからですよ長嶋さん。

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